オーバーツーリズム×分散化

こんにちは、ファイブスターコーポレーションです。
皆様は、沖縄県が2024年4月に沖縄観光快適Navi「おきめぐり」を公開したことをご存知でしょうか。今回はその公開を受け、提供サービスの内容をご紹介するほか、改めてオーバーツーリズムを考える機会として記事を書きたいと思います。

【1】はじめに

ゴールデンウィークが終わり、観光地も少し落ち着きがみられているでしょうか。
期間中は各地が賑わい活気づいた一方、人で溢れかえり混雑を極める観光地もありましたよね。

新型コロナウイルスが5類に移行され徐々に日常生活が戻りつつあり、旅行で遠くまで足を延ばす機会も増えてきたかと思います。
また、インバウンドにおいても日本政府観光局(JNTO)より、3月の訪日外客数は3,081,600人で2019年同月比では11.6%増、単月として過去最高を更新し初めて300万人を突破したとの発表がありました(2024年4月17日発表)。インバウンド需要も高まっていることが分かりますね。
参照:日本政府観光局(JNTO)訪日外客数(2024年3月推計値)

そんな中、再燃している問題が「オーバーツーリズム」です。
今回、沖縄県が公開した沖縄観光快適Navi「おきめぐり」はこの「オーバーツーリズム」と密接にかかわる取り組みの1つになると考えられるので、そもそも「オーバーツーリズム」とは何か?を解説しながら、具体的な提供サービスの内容を簡単にご紹介できればと思います。

【2】オーバーツーリズムについて


■オーバーツーリズムとは
2016年にスキフト(Skift)社が作ったと言われている言葉で観光公害とも呼ばれており、特定の観光地において訪問客が増加・集中すること等により、地域住民の生活や自然環境、観光客の満足度に悪い影響を及ばしている状況のことを指します。
バルセロナやベネチア、アムステルダム等の事例が挙げられるように世界各国が直面する問題で、観光客の入域を制限するため入場料を導入するなど対策が講じられています。

日本国内においては、観光庁が関係府省庁対策会議を開催し、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ(令和5年10月18日観光立国推進閣僚会議決定)」をとりまとめています。
観光客の受け入れと住民の生活の質の確保を両立しつつ持続可能な観光地域づくりを実現するためには、地域自身があるべき姿を描いて、地域の実情に応じた具体策を講じることが有効であり、国としてこうした取組に対し総合的な支援を行う。とされており、対策として受入環境の設備やマナー違反行為の防止・抑制が挙げられる他、「需要の分散・平準化」も対策の1つとして挙げられています。
具体的には、観光スポットや周辺エリアの混雑状況の可視化・リアルタイム配信の導入支援や混雑状況を考慮した空いている観光ルート等の提案による誘導等が挙げられており、時間や時期、場所等の「分散化」がオーバーツーリズム解決への糸口として重要な役割を担っていることがわかります。

各自治体での取り組みがある中、今回ご紹介する沖縄観光快適Navi「おきめぐり」は、沖縄県における「分散化」に対する取り組みの1つになると考えられます。


参照:オーバーツーリズム(観光過剰)?都市観光の予測を超える成長に対する認識と対応(2018年発行) 要旨/出版 国連世界観光機関(UNWTO)(スペイン・マドリード)
参照:株式会社JTB総合研究所
参照:観光庁 オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた取組
参照:トラベルボイス 観光産業ニュース/観光庁、「オーバーツーリズム対策パッケージ」を取りまとめ、地域と住民が協働した観光振興、観光客向けの乗合タクシーの導入など

【3】分散化×沖縄観光快適Navi「おきめぐり」

■沖縄観光快適Navi「おきめぐり」とは
過去の人流データによるAIデータ(人工知能)を用いて、地域の混雑状況などを可視化するとともに、イベント状況などをカレンダー形式で整理し紹介しているもので、沖縄県はサイトを通じて年間を通した入域観光客数の平準化や時間と地域の分散化、快適な沖縄観光、観光客の利便性向上を図るとしています。(参照:沖縄県公式ホームページ)また、事業者向けに沖縄観光に関する入域観光客数、観光消費額、来訪目的、満足度などの統計データも公開しております。

さて、前置きが長くなりましたが、沖縄観光快適Navi「おきめぐり」では実際どのようなサービスが提供されているのか見ていきましょう!
「おきめぐり」には具体的なサービスとして下記の通り紹介されています。
引用元:沖縄観光快適Navi「おきめぐり」

(1)観光快適度マップ
過去の人流データや天候データを活用し、AIに観光スポットの混雑度を予測させる。
旅の予定にあわせて、日付・時間・予想天気・観光エリア・気になるスポットを選択でき、該当する目的地の混雑状況や同市町村で開催されるイベント情報を確認することができる。
※混雑状況は、あくまで過去のデータからの予測であり、リアルタイムの混雑状況ではない。


(2)イベントスケジュール・カレンダー
沖縄県内で開催されている様々なイベント情報を紹介。カテゴリ別一覧ページより、日付・地域・イベントカテゴリを選択することで、対象期間中に開催されるイベント情報を確認することができる。また、イベント情報をカレンダー形式でも提供しているため、滞在期間中に開催されるイベントやお祭り情報を簡単に確認することが可能。

(3)ストーリーマップ
沖縄の豊かな自然環境、文化、歴史、伝統工芸、食など12のテーマを設定し、観光の魅力をストーリー形式で紹介。歴史的な遺跡や伝統的な村、伝統工芸や伝統文化など、様々な沖縄のストーリーをたどりながら旅行を楽しめる。

(4)観光ガイドマップ
沖縄県内の各市町村や観光協会などが作成した観光ガイドマップをデジタル化し提供。ガイドマップ検索では、希望のエリアを選択することで、該当する市町村のガイドマップを手軽に確認、ダウンロードできる。

(5)沖縄観光に関する統計データ
国内・外国人観光客に関する動向や人流データによる観光客の動態のほか、宿泊施設に関する動向データも提供されており、沖縄観光に関する幅広いデータが公開されている。

実際に、一度サイトへも遊びに行ってみてください!
★沖縄観光快適Navi おきめぐり★

今回は沖縄県に焦点を当ててご紹介しましたが、国内においてはオーバーツーリズムが懸念されている京都市が同様のサービスを以前から開始しており、「おきめぐり」と同様の提供サービス他、ライブカメラによるリアルタイム映像も配信するなど様々な角度から快適な京都観光を楽しむ為の情報を提供しています。
参照:京都市情報館

これから各地でこのサービスが広がっていくことも期待できますね!

【4】おわりに

さて、今回は「オーバーツーリズム×分散化」と「沖縄観光快適Navi おきめぐり」について記事を書きましたが、いかがでしたでしょうか。
宿泊施設様においては、お客様が旅行計画を立てられている際などに1つの情報取得手段としてご紹介する他、観光データを取得する際に活用できそうですね!

弊社のように観光業に携わるものとしては当事者意識を持って最新情報をキャッチしつつ、地域住民と協力しながら持続可能な観光地域づくりに向けて取り組んで行きたいですね。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
弊社は観光情報収集・マーケット調査はもちろん、課題解決のための施策等をご提案しながら施設様をサポートして参りますので、お気軽にお問合せください。

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