旅館業法改正で「カスハラ客」の拒否が可能に

こんにちは、ファイブスターコーポレーションです。
いきなりですが、日頃皆さまが仕事をしている上でどのような方々と接する機会が多いでしょうか?
会社内の人だけ、誰とも接することがないという方々もいるかと思いますが、多くの仕事が『お客様』と接する機会があるのではないでしょうか?
今回は昨今問題になっている『カスタマーハラスメント』と、その対応策として成立した改正旅館業法について書いていきたいと思います。

はじめに

ホテル業や観光業に限らずほとんどの業界が数多くの『お客様』と接しております。所謂サービス業というものは『お客様』あっての商売だと思います。
しかしながら、そんな『お客様』の行動が多くの企業やスタッフを苦しめているのもまた事実ではあります。

そんな『お客様』がどのような悪影響を及ぼすのでしょうか?まずは『カスタマーハラスメント(カスハラ)』について説明させていただきます。

【1】カスハラとは?

『カスタマーハラスメント(カスハラ)』とは、顧客が企業や従業員に対して理不尽なクレーム・言動をすることをいいます。
過剰な要求や嫌がらせ、迷惑行為、不当な言いがかりなどを指します。
このカスハラが増加することで従業員がストレスを抱え健康被害や離職に繋がっていきます。
また、悪口や企業の評判を落とすような書き込みをされることで商品の評判が落ちたり企業の収益に大きな影響を及ぼすことになります。
実際カスハラというのがどれくらい多いのかというと、パワハラ、セクハラに次ぐ3番目に多いという結果が出ております。
それだけ多くの人が被害を受けているということになります。

出典:厚生労働省「令和2年度職場のハラスメントに関する実態調査」

では、なぜこのようなカスハラが近年増加しているのでしょうか?増加している要因としては

・日本特有の『お客様は神様』『おもてなし』の精神を美徳とする考えや考えが根付いているという点。
・携帯・スマホの普及によって簡単にすぐクレームを入れたりクチコミ投稿できる環境になっている。
・SNSやYoutubeなどのメディアで他人の動画や発信を目にしやすくなり、意識や抵抗感が低下している。

時代や環境の変化によりこういう行為への意識が低くなっていることが増加している要因です。
カスハラは増加しているため、企業側の対策も大事になっていきます。

【2】主な内容

では実際に企業や従業員にどういったハラスメントが起きているのでしょうか?

過剰な要求をされる
過剰な要求というのは商品やサービスに過失がないにも関わらず、金銭を要求されたり、謝罪(土下座)などを要求するなどがあります。
クレームというのは企業の成長には必要なものではありますが、この場合は明らかな不利益が出る可能性があるので、安易に受け入れてはいけないという例となります。
実際に土下座をさせてSNSにあげるという事例も起きています。

暴言を吐かれる
従業員への暴言や差別的な発言もカスハラのひとつです。
「バカ」「クズ」「使えない」「辞めろ」などがあります。
先も述べたように、土下座の強要や暴言を繰り返し吐くことも具体的な事例となります。
「本社に連絡してクビにしてやる」「こんなスタッフを雇っている店は終わっている」など言わる事例も起きています。

長時間拘束される
実際対面でも起こっている事ではありますが、主にコールセンターやカスタマーサポートなどの電話対応によるケースが多いです。
1時間以上ずっと文句を言い続けたり、怒鳴り散らしたりと、ストレス発散や嫌がらせ目的の悪質なもの多い事例となります。

脅迫される
過剰な要求をされるというものに通ずる部分ではありますが、要求が通らなかった場合に
「SNSに拡散してやる」「住所を特定して行ってやる」「本社に嫌がらせする」など従業員の精神を削る行為です。
特に新人や外国人などの業務に慣れていないスタッフに多いと言われ、精神的に耐えられず辞めてしまうという例が多くあります。

【3】改正旅館業法

このようなカスハラが横行する中で企業によっては独自の対策を取り、会社・従業員を守っていくような対応をするようになってきました。
しかし、ホテル・旅館業界は特に『おもてなし文化』が根強く、悪質な客に対する法的措置というのがありませんでした。

今までは法律上「原則として宿泊拒否禁止」ということになっておりました。理由としては「戦後の混乱期に、宿泊拒否をされて行き倒れや野宿を防止する観点からできた」ようです。

時代は変わり、今年の6月5日にようやく旅館業法が改正され、カスハラ客の宿泊拒否が可能となります。※施行は12月から
大きなきっかけとしては、コロナ禍において正当な理由がないマスクの着用の拒否や、感染予防対策に応じない客に対して宿泊拒否ができず、他の宿泊者やサービスを阻害する恐れがあるためホテル・旅館業界が要望したということです。これにより従業員の精神的負担や人手不足解消にも繋がるとみられています。

宿泊拒否ができるケース

・客がスタッフに対し、宿泊料の不当な割引きや慰謝料の要求、ほかの宿泊者と比べて過剰なサービスを求める


・土下座などの社会的相当性を欠く方法で謝罪を求める


・泥酔し長時間にわたる介抱を求める


・対面や電話、メールなどで長時間にわたり不当な要求をする

といった行為をそれぞれ繰り返した場合などを挙げています。

【4】さいごに

基本的に『お客様』あっての企業ではありますが、落ち度がないものに対して安易に謝罪をしたり、要求をすべて受け入れてしまうと会社としても従業員の安全という意味でも不利益しかありません。

カスハラの対応による時間の浪費と機会損失、従業員のストレスや離職、それによる人手不足やサービスの質の低下など、企業の経営そのものに大きな悪影響を及ぼします。

これからは『お客様は神様』『おもてなし』以上に、自社の従業員を守り、経営に負担がかからないような対策が必要になっていきます。

12月から施行される改正旅館業法によってどのような変化が起きるのか、今後の動向に注目していきたいと思います。

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