こんにちは、ファイブスターコーポレーションです。
先日、「2024年の宿泊業界を振り返る」をテーマに2024年度における日本全体の宿泊業界・観光業界についてお話いたしました。
今回はその中でも我々が拠点に置く沖縄県の宿泊業界の現状について深堀したいと思います。
宿泊施設様の中には、コロナが落ち着き日本全体では訪日観光客数が過去一だというのに、うちの施設はなかなか売り上げがあがらない。そんなお声もお聞きすることがございます。
ではなぜそのようなことが起こっているのか、どのような対策をしていけばよいのか、我々が施設様にお応えできることをお話しさせていただければと思います。
【1】入域観光客数の推移
まずは沖縄県を訪れる観光客数の推移を見てみます。
令和7年1月27日に公表されました沖縄県の入域観光客統計概況によりますと、令和6年の入域観光客数は966万1500人となり、昨年比にして+17.3%増、コロナが大流行する前の令和元年比にして-4.9%と過去3番目にあたる観光客が沖縄を訪れているようです。
現状、国内客はコロナ禍前の水準を上回り、外国人客も72.5%まで回復しています。
なかなか実感が湧かない方もいらっしゃるかもしれませんが、実はコロナ流行前とほぼ同等の観光客が沖縄を訪れています。
また、インバウンドと呼ばれる外国人観光客数はコロナ禍前の72.5%と、まだ完全に戻り切れていない現状です。こちらはコロナ前と比較すると、航空機の国際線の就航状況やクルーズ船の就航状況がまだ回復しきれていないことが影響されます。
一方で航空便やクルーズ船の回復で増加することが期待されますので、今後の回復に期待できるマーケットでもあります。
<出典:沖縄県入域観光客統計概況>
【2】宿泊施設数の推移
次に沖縄県にある宿泊施設数の推移を見てみます。
最新の発表によりますと、令和5年末におけるホテル・旅館の数は908軒、民宿などを含めると合計3,914軒の宿泊施設が運営され、その収容人数は184,732人となっております。令和4年では3,681軒だったのに対し+233軒の106.3%の軒数比率となっており、これは平成14年以降22年連続での増加となるようです。
<出典:沖縄県宿泊施設実態調査結果>
ホテル・旅館に絞ってみてみますと、令和4年では903軒であったのに対し令和5年は+4件のみの増加となっておりますが、沖縄県が過去最高の入域観光客数を記録した令和元年を見てみますと、ホテル・旅館の数は700軒、なんと過去最高の観光客が訪れた時と比較し、現在は129.7%も施設数が増加しているのです。
現在でも那覇エリアを筆頭に本島北部の西海岸エリアなどで新規施設の建設がすすめられていることからも、今後さらに宿泊施設数は増えることが伺えます。
【3】沖縄県の課題
先述の通り、沖縄県では観光客数は伸びていますが、それとともに宿泊施設数も増加していることから、施設単位でみるとお客様の数は減り、売り上げも思わしくない状況にある施設もいらっしゃることが考えられます。
その他にもよく上げられる沖縄県の観光業界の課題の一例を改めてみてみます。
- 提供サービスの低下
- 人手不足、人材不足
- 交通渋滞や交通トラブル
- 生活環境の悪化
- 滞在日数の短さ
- 平均消費単価の低さ
競合となる施設が増えると価格競争や人材の取り合いなどの問題も考えられ、サービスの質の低下やオーバーツーリズムの問題も考えられます。
また、多くの観光客が来訪することでの交通渋滞や、海外からの観光客ですと文化の違いによるトラブルなど、様々な観光公害が生じることもあり、受け入れ態勢の整備は今後も重要な課題だと考えられます。
その他にも観光先進地であり、沖縄県のライバルとされることもあるハワイと比較し、平均滞在日数は3分の1程度、消費額は半分以下となっており、滞在時の満足度が低い傾向にあるということも、量から質への転換を目指す沖縄県の重要課題であることがうかがえます。
【4】今後期待されること
ここまで宿泊施設数が増えたこと、増えることによるマイナスな面ばかり挙げてしまったように思えますが、決して沖縄を取り巻く状況は悪いことばかりではございません。
先日の報道ではJTA(日本トランスオーシャン航空)が初の那覇-台北間運航便を就航し、今後もまだコロナ禍前より戻り切れていない中国本土を中心とした国際線の回復、クルーズ船の定期就航など、まだまだ沖縄県を訪れる観光客は増加傾向にあります。現に日本全国の航空便の就航状況を見てみると国際線の便数はコロナ前の99%まで回復しております。
<出典:国土交通省:各期の国際定期航空便の主な動向>
また、25年7月25日にはジャングリア沖縄のオープンも発表されました。
沖縄アリーナや沖縄コンベンションセンターをはじめとするMICE施設では各大型イベント、アーティストによるLIVEも続々と開催が発表されています。毎年開催されるプロ野球春季キャンプやサッカーキャンプ、琉球ゴールデンキングスやFC琉球などのホームゲーム開催といったスポーツツーリズムもますます活発になっております。
訪れる観光客数が増加する中、訪れてよし、受け入れてよしの沖縄県を目指すにあたり、
観光業界全体として、インフラ等も含めた受け入れ態勢の強化や、ニーズに対する施設数の管理など、施設単位ではなく全体的に建設的な議論を進めていくことが今後は求められることになることが考えられます。
【5】私たちにできること
さて、ここまで沖縄県の宿泊業界の現状について振り返りました。
好調に観光客数が増え、沖縄で開催されるイベントも増え、盛り上がりを見せる嬉しい現状がある反面、同時に宿泊施設も増えていることで競争が激化している現状にあることがご確認いただけたと思います。そのような中、宿泊施設でできることにはどういった対策・対応があるのか最後に考えてみたいと思います。
1.業務の効率化/DX化による省人化、サービスの質向上、働く社員の環境整備
まずは業務の洗い出しを行い、無駄を少しでも排除することで本来行うべき業務へ集中でき、サービスの質向上を図ることができます。
人手不足や人材不足で手が回らない、という施設様がいらっしゃいましたら私どものような専門会社に外部委託をされ、業務のすみわけを行うことを検討してみてはいかがでしょうか。
弊社ではDX化の一環として無人チェックインシステムの導入サポートやサイトコントローラーの導入サポート・整備を行わせていただいております。
導入に際してIT導入補助金事業の採択実績もございますので、お気軽にお問い合わせくださいませ。
2.競合施設の選定、自社の強みの発信、適正な値付け
施設数が増えライバル施設が増えてくる昨今、安易に価格競争に走り値下げ合戦になってしまってはいけません。物価高に伴い様々な支出が増える一方で、無理に価格を下げてしまうことで収入は減り、支出ばかりが増えるという悪循環に陥ることも考えられます。
また、安価な価格への変更はユーザーの変化も顕著に表れます。これまで築き上げた自社の魅力や顧客との信頼などを揺らがしかねない問題ともなりますので慎重になる必要も出てきます。
弊社では経験豊かなWEBコンサルタントが施設の適切な位置づけ、競合の選択、適正料金での販売を提案、契約によってはレベニューマネジメント含め施設の代わりに行わせていただいております。
3.公式サイトやOTAページの整備、OTAやリアルエージェント等での販路拡大
顧客を獲得するにはますは施設を見つけてもらう必要があります。よほどのグループホテルやグローバルチェーンでない限り、施設がこれだけ増えている中で公式サイトのみでは競争力は低くなってしまいます。
公式サイトの作成に合わせてOTA(オンライントラベルエージェント)での販売、別軸でリアルエージェントでの販売など販路を拡大し、それぞれのユーザーに合わせた訴求を行うことで、魅力ある施設としてユーザーへ情報を届けることができます。一方で、何でもかんでも手を付ければよいということはなく、自社の魅力や強みに合ったターゲットを絞り、そのターゲットに訴求できる販売先の選定をきちんと行わないと、口コミの低下など悪影響も懸念されます。
弊社では専門のコンサルタントがOTAの選定、契約・導入サポート、公式サイトやOTAのユーザーページに関してはクリエイティブチームがサイトの作成・整備を請け負います。
4.ニーズに合わせたプランの販売
安いホテルが良い、綺麗なホテルが良い、海に近いホテルや駅に近いホテルがいい。宿泊者は様々なニーズを持ちホテルを予約します。それと同時に施設としても、連泊予約を取りたい、海外のお客様を受け入れたい、この月の予約を取りたい、といった様々なニーズがあることと思います。販売先や自社予約エンジンによって設定できることに限りがある場合もございますが、我々は施設様の要望を汲み取り、適切な販売を実施します。先述の販路拡大の契約サポートの他、自社予約エンジンの導入サポートなども実施しておりますのでお気軽にお問合せください。
その他にも施設のリニューアルや改装、提供サービスの拡大など施設単位でできることはまだまだたくさんございます。上記は弊社コンサルティング事業部でお手伝いできる内容についてお伝えいたしましたが、弊社ではコンサルティング事業部の他、オペレーション事業部では実際のホテル運営やホテル開発にも携わっております。
宿泊施設に関するお悩みの解決をワンストップで行うことができる体制が整っております。少しでも施設のことでお悩みを抱えておりましたら、弊社までどうぞご連絡ください。
【6】さいごに
沖縄県では入域観光客数が右肩上がりに増加し続け、コロナ禍では落ち込みを見せたものの、令和5年では依然と同等にまで回復している状況にあるとお伝えしました。
観光客数が増える嬉しい状況ですが、同時に宿泊施設数も増加し、いわば供給過多に直面している課題も挙げられました。そのような中で今回お伝えした情報が、施設が何をしたらよいか少しでも考えてみる機会になりますと幸いです。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。