こんにちは、ファイブスターコーポレーションです。
前回は、JTBのデータをもとに2026年夏の旅行動向と、宿泊施設向けの集客施策についてお伝えしました。
今回はその続編として、旅行者の「節約志向」を後押ししている自治体独自の旅行補助金・割引サービスに焦点を当て、2026年8月時点の最新情報をまとめます。
こうした補助金・割引の情報を把握し、自社の情報発信に取り入れることは、前回お伝えした集客施策をさらに効果的にする一手にもなります。
本記事では、全国の主な旅行補助金・割引サービスと、宿泊施設が今すぐ活用できるポイントをご紹介します。
【1】国主導のキャンペーン紹介(現在は開催なし)
宿泊需要には季節ごと・地域ごとにはっきりとした波があります。WEB販売の現場では、動きの鈍る時期の稼働をどう埋めるかが、いつも悩みどころではないでしょうか。
その稼働を埋める打ち手として、いま各地で活発になっているのが、自治体や観光団体による旅行キャンペーンです。かつては国が主導した「全国旅行支援」(2022年〜、いわゆる県民割の全国拡大版)のような全国一律の大型制度もありましたが、それらはすでに終了しています。いま実際に動いているのは、各都道府県・市町村・観光団体がそれぞれ独自に設計したキャンペーンとなっております。
こうしたキャンペーンは、うまく活用すれば集客に大きく繋げられます。一方で、「どの販路を通して適用されるのか」「値引きなのか、あとで使えるクーポンなのか」といった設計次第で、販売チャネル戦略や価格運用への影響はまったく変わってきます。そこで本記事では、過去と現在のキャンペーンを、WEB販売の視点で押さえておきたい次の4つのポイントから読み解いていきます。
この4点を押さえておけば、新しいキャンペーンが出てきても「販売にどう組み込めるか」を素早く判断できるようになります。この章ではまず、かつて全国の宿泊需要を大きく動かした「国主導」のキャンペーンを2つ取り上げます。いずれも現在は開催されていませんが、原資がすべて国という共通点を持ち、宿泊集客が制度にどう影響されるかを学ぶいい例となります。それでは、この4つの視点で振り返っていきましょう。
① GoToトラベル(2020年)― 国が主導した”割引+現地クーポン”の元祖(現在は開催なし)
まずは、多くのWEB販売担当が最初に運用を経験したであろう、国主導の全国キャンペーンから振り返ります。宿泊代金の割引に加え、旅行先で使えるクーポンを組み合わせた仕組みは、この制度が原型になりました。
割引と「現地で使えるクーポン」がセットになる点が最大の特徴で、宿泊単価を下げつつ、館内の飲食や物販、地域内消費まで押し上げる設計でした。OTA・旅行会社経由で適用されるため運用のハードルは低い一方、需要が制度の有無に大きく左右されました。終了が発表されると駆け込み予約で一時的に伸び、実際に終了するとその反動で予約が落ち込むという“制度依存”の難しさを、施設側が経験することにもなったキャンペーンです。
(参照:「Go To トラベルキャンペーン」7月22日開始!どれくらいお得に? 【楽天トラベル】)
② 全国旅行支援(2022〜2023年)― 大手OTAで全国どこでも使えた”王道タイプ”の原型(現在は開催なし)
次は、GoToトラベルの後継として、全国どこへの旅行でも使えた制度です。大手OTAの管理画面上で完結する運用は、参加へのハードルを下げました。
ふだん使っているOTAの管理画面上で全国一律に適用されたため、施設にとっては参加のハードルが低く、集客のボリュームも非常に大きい制度でした。ただし需要が制度の有無に強く連動し、割引率の縮小や終了のたびに予約ペースが大きく変動。「制度がある前提」で価格を組んでしまうと、終了後に売れ行きが鈍るという課題も残しました。
(参照:観光庁「全国旅行支援の着実な実施」)
この2つのキャンペーンに共通するのは「原資がすべて国だった」という点です。だからこそ全国規模で一気に需要を動かせた反面、国の予算と方針次第で需要が一斉に始まり、一斉に終わるという問題も抱えていました。GoToトラベルも全国旅行支援も、大手OTA経由で大きな集客を生み出した一方、施設側の稼働が「制度があるかどうか」に大きく左右されました。
こうした国主導の大型制度が姿を消したいま、集客の主役になっているのは、各自治体や観光団体が独自に設計したキャンペーンとなります。だからこそ、ここまで見てきた4つのポイントで一つ一つを読み解き、販売にどう組み込むかを判断する力が、これまで以上に重要になります。それでは、現在進行形で開催しているキャンペーンを見ていきましょう。
【2】現在実施中・今後実施予定のキャンペーン紹介
現在も開催しているキャンペーンは全国には数十種類あります。ここでは、現在開催中のキャンペーンを4つ紹介していきます。
① 秋田県「得旅キャンペーン(第2弾)」 ― 大手予約サイトで完結する”王道タイプ”
まずは、WEB販売ではなじみのある「大手OTA経由で適用されるタイプ」から紹介します。秋田県が主導する、冬季の宿泊需要を押し上げるキャンペーンです。
クーポン配布は2026年10月1日から、宿泊対象期間は11月1日〜2027年2月28日チェックアウト分です。
ふだん運用しているOTAの管理画面上でキャンペーンが適用されるため、参加のハードルが低く、値引き原資も県が負担します。施設の売上を削らずに実売価格を下げられるのが強みで、まさに冬の閑散期対策としてプラン造成・在庫配分を組みやすいタイプです。一方、集客が特定OTAに寄りやすいため、直販とのバランスや、対象プランをどう露出していくかは意識しておきたいところです。
なお、じゃらん・楽天トラベル・一休.com・Agodaでは事業者ごとに販売方法や販売開始日時が異なるため、10月以降は各予約サイトの告知を都度ご確認ください。
(参照:秋田県旅得キャンペーン)
② 熊本県・人吉市「ひとよし満喫旅」 ― 直販を後押しする”直接予約限定”タイプ
次は、①とは対照的に「自社サイト等の直接予約でしか使えない」市町村主導のキャンペーン。直販を伸ばしたい施設にとっては見逃せないタイプです。
OTA非経由が条件のため、手数料のかからない直販へ集客を寄せる機会となります。割引にクーポンが上乗せされる分、実質的な価格訴求力も高く、自社サイトの予約導線やLP、公式SNSでの告知を強化する価値があります。市町村主導のため申請・精算のフローは事前確認が必要ですが、うまく設計すれば「直販だからお得」という施設ならではの販売方針をアピールできます。
なお、お盆期間(8月13日〜15日)は対象外となるほか、予算に達し次第終了となる点にもご注意ください。
(参照:ひとよし満喫旅/人吉市)
③ 東京都「しまぽ通貨(2026年度版)」 ― 現地消費まで取り込む”プレミアム付きクーポン”タイプ
3つ目は、「予約時の値引き」とは仕組みが異なる「プレミアム付きクーポン」タイプです。東京都の島しょ地域(伊豆諸島・小笠原諸島)で使える電子通貨で、宿だけでなく食事や物販にも利用できるのが特徴です。
宿泊代金の値引きではなく「地域で使える金券」を旅行者が先に購入する形式のため、予約単価をそのまま維持しやすいのが特徴です。宿泊だけでなく食事や物販にも使えるので、館内消費・地域内消費の底上げにつながります。施設としては、対象通貨が使えることを予約ページや現地案内で明示し、「ここでも使える」という利便性を訴求することが取り込みのカギになります。
なお、2026年度(第1期)分は好評につき完売しており、現在は購入できません。追加販売(第2期以降)の詳細は公式サイトで案内される予定のため、施設でご案内される際は最新の販売状況を事前にご確認ください。
(参照:東京諸島へお得に行こう!電子しまぽ(しまぽ通貨)ホームページ)
④ 神奈川県「湯河原温泉スマイルクーポン」 ― 地域一体で集客する”観光団体主導”タイプ
最後は、③と同じ「プレミアム付きクーポン」でも、原資の出どころが自治体ではなく観光団体というパターン。地域の宿が足並みをそろえて取り組む形の代表例です。
③と仕組みは似ていますが、主催が行政ではなく地元の旅館組合である点が大きな違いです。参加は組合を通じた枠組みになり、抽選販売のため販売数のコントロールがしやすい反面、告知や在庫連動は地域一体での動きに合わせる必要があります。組合加盟館であれば地域全体の集客力に乗れるメリットが大きく、施設単独の施策と組み合わせて相乗効果をねらいたいタイプです。
なお、購入者記名式のため転売はできない一方、家族利用は可能です。また1人1泊あたりの利用枚数に上限(第2弾は3枚まで)が設けられており、現場では予約受付時点で「クーポン利用予定の有無」を確認しておく運用が必要になります。
(参照:湯河原温泉 公式観光)
同じ「宿泊がお得になる」キャンペーンでも、どの販路となるのか/値引きなのか金券なのか/誰が原資を出しているのか/いつの宿泊が対象かによって、販売戦略への組み込み方はまるで変わります。OTA経由なら在庫配分と露出の最適化を、直接予約限定なら直販導線の強化を、クーポン型なら単価維持と現地消費の訴求を——といった具合に、打つべき手が違ってくるのです。
新しいキャンペーンの情報を目にしたら、まずはこの4点で施設の繁閑カレンダーと照らし合わせてみるといいでしょう。閑散期の稼働をどう上げるのか、その具体的な一手がきっと見えてくるはずです。
【3】沖縄の現状
沖縄でも、この動きは例外ではありません。県内の宿泊需要も季節や社会情勢によって波があり、施設様にとっては閑散期の稼働をどう埋めるかが継続的な課題となっております。
かつては、国の「全国旅行支援」の沖縄版として「おきなわ彩発見NEXT」という宿泊割引が実施されておりましたが、こちらはすでに終了しており、2026年8月現在、県による新たな独自の宿泊補助金は行われておりません。
しかし、お得に泊まれる仕組み自体がなくなったわけではなく、旅行会社・OTA、そして市町村が、それぞれ独自の企画で「お得」を提供し続けています。ここでは過去のものも含め取り組みを紹介していきます。
①近畿日本ツーリスト「とびだせ いざ!にっぽん旅沖縄キャンペーン」(現在は開催なし)
②JTB「沖縄満喫クーポン」
JTBが自社の観光情報サイト上で展開している宿泊クーポンで、「旅の過ごし方」サイト経由で申し込むクーポン形式。
5月から10月という約半年間をカバーしており、夏休みだけでなく秋の閑散期対策にもつながります。
(参照:JTB沖縄満喫クーポン)
③沖縄ツーリスト ENJOY!沖縄夏旅キャンペーン 2026(現在申し込みは終了)
沖縄ツーリストが自社で販売する、航空券とホテルのセットプランです。
全申込者に国内旅行傷害保険が付帯しており、台風による欠航時にも1万円の補償が受けられるため、天候が不安定な時期でも予約を後押ししてくれる仕組みになっています。
④那覇市「なはんちゅPAY」(現在申し込みは終了)
(参照:なはんちゅPAY(電子版)|那覇市公式ホームページ))
⑤沖縄市「エイサー商品券」(現在申し込みは終了)
(参照:利用者向けページ | 沖縄市エイサー商品券 令和8年)
那覇市・沖縄市の取り組みは暮らしを支えるための生活支援が中心の施策です。ただ、一部市内のホテルでも使える設計になっているため、地元のお客様を取り込むチャンスとしても十分に機能します。旅行者向けの集客策とは別に、「地元客をどう取り込むか」という視点でも押さえておきたい事例です。
こうして見ると、国主導の支援はないものの、各OTA・旅行会社から様々なキャンペーンが展開されていることが分かります。「補助金がない=チャンスがない」ではなく、沖縄はそもそも公的な補助金に依存しなくても一定の需要を確保できるエリアであり、これからは価格だけでなく、体験価値や独自プランでどう選ばれるかが問われる市場になっていくと考えられます。
また、旅行者向けの企画だけでなく、なはんちゅPAYやエイサー商品券のように地元住民に向けた仕組みも出てきています。特に近年は、沖縄のホテル予約が直前化する傾向があり、旅行者の動向が読みにくくなっている分、地元のお客様との接点を持っておくことも、これまで以上に大切になります。
さまざまなOTAや市町村でお得に宿泊できる制度をを実施しているので、自施設に合ったものをうまく見極めて活用していきましょう。
【4】【まだ間に合う!】OTA特集情報
これからの掲載に間に合う、OTA特集をピックアップしてご紹介します。
<1>10月じゃらんスペシャルウィーク
| 開催期間 | 2026/10/05 ~ 2026/10/15 |
|---|---|
| 推奨エントリー期限 | 8月26日(水) |
<2>一休.comのセール
①一休の日セール!ホテル・リゾートスペシャル
| 開催期間 | 2026/09/09 12:00~2026/09/19 12:00 |
|---|---|
| 推奨エントリー期限 | 9月4日(金)12:00まで |
②一休の日セール!旅館・リゾートスペシャル
| 開催期間 | 2026/09/19 12:00~2026/10/01 12:00 |
|---|---|
| 推奨エントリー期限 | 9月16日(水)12:00まで |
※セール名称・スケジュールは変更になる可能性があります。詳細は管理画面よりご確認くださいませ。
※「ホテル・リゾートスペシャル」「旅館・リゾートスペシャル」は、施設タイプに関わらず参加可能です。
【5】最後に
国主導の大型キャンペーンが姿を消したいま、「補助金がない=打つ手がない」と捉えてしまうのはもったいない状況です。
今回ご紹介したように、都道府県・市町村・観光団体・OTA各社がそれぞれの視点でキャンペーンを設計しており、施設の繁閑カレンダーに合った制度を見極めて組み合わせれば、閑散期対策として十分に活用できます。
一方で、キャンペーンごとに「対象サイト」「割引かクーポンか」「補助金の出どころ」「対象期間」が異なるため、
内容を正しく理解しないまま参加すると、想定外の原資負担やチャネル戦略のズレにつながることもあります。
「自施設にどのキャンペーンが合うか分からない」「販売チャネルへの影響を踏まえて判断したい」といったご相談は、ぜひお気軽にお声がけください。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
9月4日~6日 :沖縄全島エイサー祭り@沖縄市
9月13日 :ベリーグッドマン@パレット市民劇場
9月18日~19日:MISIAのライブツアー@沖縄コンベンションセンター劇場棟
9月19日 :沖縄かなさ花火2026@宜野湾海浜公園トロピカルビーチ特設会場





