こんにちは、ファイブスターコーポレーションです。
近年、フィッシング詐欺による被害が増加しており、日常的にニュースなどでも取り上げられるようになっています。
特に最近では、宿泊施設をターゲットにしたフィッシング詐欺が報告されており、業界関係者にとって無視できない脅威となっています。
「予約のお問い合わせ」や「レビューに関する確認」など、実際の業務にありそうなやりとりを装うケースが多く、現場で働くスタッフがうっかり対応してしまう可能性も高いのが特徴です。
本記事では、フィッシング詐欺の概要から具体的な手口、そして見抜くポイントまでを詳しく解説します。
【1】フィッシング詐欺とは?目的は?
フィッシング詐欺とは、信頼できる組織や企業(例:予約サイトや宿泊施設など)になりすまし、偽のメールやウェブサイトを用いてユーザーを誘導し、クレジットカード情報やアカウント情報などの機密情報を不正に取得するサイバー犯罪の一種です。
宿泊施設業界におけるフィッシング詐欺の主な目的としては、以下のようなものが挙げられます。
・予約サイトのアカウント情報の盗取
宿泊施設が利用する予約サイトのログイン情報を狙い、不正アクセスや予約の改ざん、ゲスト情報の窃取を行う手口です。
これにより、予約の乗っ取りや、ゲストに対する不正な支払い請求などが可能になります。
・ゲストの個人情報の不正取得
ゲストの氏名、住所、連絡先、クレジットカード情報などの個人情報を不正に収集することを目的としています。
これらの情報は、不正利用や成りすまし、他の詐欺行為などに悪用されるリスクがあります。
・不正な金銭の要求や詐取
宿泊施設を装ってゲストに接触し、金銭やクレジットカード情報を不正に入手することが目的です。
偽の予約確認や請求メールを送信し、正規の連絡と誤認させることで、支払いを誘導する手口が多く確認されています。
このように、宿泊施設業界においては、ホスト側とゲスト側の両方が攻撃の対象となり得るため、非常に注意が必要です。
【2】フィッシング詐欺の手口
フィッシング詐欺の手口は年々巧妙化し、新たな手法が次々と現れています。
ここでは、特に注意すべき代表的な3パターンをご紹介します。
1.空室確認や、レビューに関する問い合わせ
「〇月〇日に宿泊を希望していますが、空室はありますか?」「悪いレビューが掲載されていますが、改善されましたか?」といった、自然で日常的な問い合わせメールを装って送られてきます。
メール内には確認のためのリンクが記載されており、表示上は本物の予約サイトのURLに見えるものの、実際には異なるフィッシングサイトへ誘導するリンクがハイパーリンクとして埋め込まれています。
現場スタッフにとってもよくある問い合わせ内容のように見えるため、誤ってリンクをクリックしてしまう危険性が高い手口です。
2.正規チャット機能の悪用
宿泊施設のアカウントを乗っ取った後、その施設の正規の予約チャット機能を悪用して、ゲストに対して詐欺メッセージが送信される手口です。「決済情報に誤りがある」「キャンセルの可能性がある」といった、緊急性や不安を煽る内容のある文言でゲストを焦らせ、偽の決済ページや個人情報入力ページへと誘導します。
この手口は、公式のチャット機能を経由して連絡が来るため、ゲストが本物と信じ込みやすい点が非常に悪質かつ危険です。
3.偽予約確認ページによる個人情報盗難
「12時間以内に支払い情報を更新しないと予約がキャンセルされる」といった警告メッセージを表示し、実際の予約サイトそっくりに作られた偽サイトへ誘導する手口です。偽サイト上には、実際の予約者名や宿泊日、施設名などが表示される場合もあり、利用者は正規の予約サイトであると錯覚しやすい状況に陥ります。その結果、クレジットカード情報を入力してしまうケースが多発しています。
【3】見破るポイント
フィッシング詐欺に共通するのは、一見本物のように見える「本物そっくりの偽装」がされていることです。
しかし、注意深く確認すれば“おかしな点”が存在します。以下のポイントに気をつけることで、多くの詐欺メールやサイトを見破ることが可能です。
▶ 不自然な送信元アドレスやリンク
・実在する企業名でも、メールアドレスのドメインが微妙に異なる
(例:booking.com → booklng.com)
・URLが短縮されている、または意味のない英数字の羅列
・リンクにマウスカーソルを合わせると、表示とは異なるURLに飛びそうになる
✅対策:メールの表示名だけで判断せず、実際の送信元アドレスを必ず確認しましょう。
少しでも不審に感じた場合は、リンクはクリックせず、公式サイトから直接アクセスするようにしてください。
▶ 差出人の日本語が不自然
・機械翻訳のような文章
(例:「アカウント危険なります」「あなたの口座は危険状態です、すぐ対応してください。」)
・不自然な敬語や言い回し
✅対策:日本語に違和感を覚えた場合は、詐欺の可能性を疑いましょう。
ただし、近年は自然な日本語を使うケースも増えているため、油断は禁物です。
▶ 緊急性をあおる内容
・「あなたのアカウントは一時停止されています」
・「○時間以内に対応しないとアカウントが無効になります」
・「セキュリティ違反が検出され、即時確認が必要です」
✅対策:「すぐに対応しないと危険」といった焦らせる内容は詐欺の典型です。
落ち着いて対応し、まずは公式のカスタマーセンターなどに問い合わせることが確実です。
▶ 添付ファイルがあるメール
・請求書や予約確認を装ったPDFやExcelファイルにウイルスが仕込まれている場合があります
・「未払い請求書」や「顧客のパスポート情報」などを装い、ウイルス付きファイルを送信してくる手口もあります
✅対策:添付ファイルは安易に開かず、開く前に必ずウイルススキャンを実施しましょう。
【4】対処法・対策
万が一フィッシングメールを開いてしまったり、情報を入力してしまった場合は、迅速な対応が被害の拡大を防ぐ鍵になります。
✔ 被害に気づいたら、すぐにパスワードを変更する
OTA(予約サイト)などのログイン情報を入力してしまった場合は、直ちに管理画面のパスワードを変更してください。
また、他のサービスで同じパスワードを使い回していた場合も、すべての関連パスワードを変更することを強くおすすめします。
✔ 二段階認証を導入する
ログイン時の二段階認証(SMSや認証アプリ)を有効にすることで、不正アクセスのリスクを大幅に減らせます。
✔ セキュリティソフトや迷惑メールフィルターを導入する
施設で使用しているPCやWi-Fi環境には、法人向けのセキュリティソフトや迷惑メールフィルターの導入を検討しましょう。
これにより、ウイルス感染やスパムメールのリスクを大幅に軽減できます。
✔ 社内で情報を共有する
一人だけが気づいても意味がありません。スタッフ全員で情報を共有し、注意喚起を徹底しましょう。
「怪しいメールが届いたら必ず上長に報告する」「個人の判断でリンクをクリックしない」など、社内ルールを明文化し、対応レベルを統一することが重要です。
✔ セキュリティ教育を定期的に実施する
パートやアルバイトスタッフにもわかりやすい実践的なセキュリティ研修を、定期的に行いましょう。
年に1回でも実施することで、施設全体のセキュリティ意識が高まり、リスクを大きく減らすことができます。
【5】おわりに
フィッシング詐欺は、「ちょっとした油断」を狙う巧妙な犯罪です。
しかし、日頃から意識を高め、情報を共有しておくことで、大きな被害を未然に防ぐことが可能です。
宿泊施設は、お客様の大切な個人情報を預かる立場にあります。
だからこそ、スタッフ全員がセキュリティ意識を持ち、安全で信頼される運営を目指していくことが大切です。
ファイブスターコーポレーションでは、施設様に合わせたサポートを行っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。